購入までの顛末
欲しいから買えるかと言えば、世の中そんなに甘くは無い。けどまったく望みが無いわけでもない。そんなお話♪

最初に断っておきますがこのページも文章のみになりますのでご了承をば・・・

 さて、まずどのような経緯で、この車が見付かったか。

おいそれと見付かる車ではなく、そこら辺の中古車屋に並んでいる車でもない。そもそものきっかけは友人からの情報からだった。

今をさかのぼること3年と少し前の春先のこと、当時乗っていた2台目のAW11型MR-2の元オーナーであり、友人の『タロ』さんからの何気ない一言がきっかけだった。

『Takuさんってケンメリなら4発でも良いって言ってたよねぇ。

いい話が出てきたんだけど♪』

とまあ、車関係とは全く無関係なお仕事なのにどういう訳かそういう関係の情報収集力のすさまじくすごい彼曰く・・・
何でも、10年以上車庫に入れたままで、その車庫を撤去する段になってから、中の車のことを思い出して、誰か欲しい人いないかい?とのことだったそうで、具体的なことはよく分からず、また車庫を撤去するのも急ぐ話では無く、車を見ること自体、すぐには無理だけど車は4ドアで車庫保管なだけに程度は極上とのことで車が出せる状態になったらまた改めて、との事ですが、それも当分先だろうとのこと。
・・・最も、そのときは車の買足しは当然ながらすぐの代替も、まず無理だろうなと思っていたし、4ドアならなぁ・・・と思ってて気にしてなかったんですが。
(ちなみに結構前のことだったから今となっては話の内容もうろ覚えのため確証もてませんけど)
それから少しして再び『タロ』さんから話があり車は4ドアでなくて2ドアのハードトップ。
で、すでに車庫から出されていて、今はさる車屋に入っているとのこと・・・

 今だからこうして書きますけどこの話を聞いた時点で十中八九、購入は無理だな、と思っていました。
なぜかって?そりゃあ私も車屋に勤めてますしそうなると通常の販売でなく業者間での販売、すなわち業販になり、通常の販売価格でなく卸し価格になるんで相手側としてもあまりいい話で無いでしょう。ましてや、仕入れたばかりの車ですし。

それでなくても旧車の場合、欲しい人が限られるわけだから普通の車屋なら長期在庫になるリスクや販売後のアフターサービスの面を考えるとまず手を出さない。
(部品の供給や整備の問題、しかも今の車と違い次の車検まで乗りっぱなしにも出来ないし今の車の感覚で乗られて故障してクレームが来る恐れもあるため)
それをあえて引き取った、ということはすでに売り手が決まっているか、もしくは店の看板代わり、あるいは社員の方か社長さんがご自身の車として手に入れたものか・・・(今回は後者だったのですが)
どう考えても一見の客においそれと売ってくれるとも思えず・・・。
で、今回はとりあえずいいや。と思ってたものの、『タロ』さんが行って話してみないと何も始まらないよと先方の車屋の場所と名前を教えてくれ、その車屋さん(販売ではなく、板金整備がメインです)に行って、話ししてきました。
結果からいえば、当然と言えばそれまでですが、予想とおりいい結果は得られず。
車はすでに車検整備を終え、検査と登録待ちの段階であったんです。
まあ、正直なところ、私もすぐに買える状況ではなかったですし、ある意味、これで吹っ切ることも出来ました・・・そのときは。

でもそこの社長さんも結構気さくで車好きな方で、有難いことにそのケンメリを見させていただき、その車のことやそのとき乗っていた当時の私の車(MR-2)のことやらで話が弾み短い時間でしたが楽しい時間でした。
車自体、20年以上経過しているとは到底思えないまったくといって良いほどの所謂未再生原型車で、奇跡といって良いほど望外なコンディション。
GTだったら間違いなく150万でもバーゲンプライスといえる価値のある一台です。
・・・もっとも、4気筒車の相場なんて車自体のタマ数が無いうえに、欲しがる人もどれだけいるかわからないから逆に値段のつけようも無いともいえますが。

それから数ヵ月後、さる中古車の合同展示イベントで『応談』のプライスカードを下げて展示されていたのを見るにつけ、、一抹のやるせなさを感じ、『縁が無かったか・・・』と諦めたものです。

 それから2年近い時が過ぎ、それまで勤めていた会社が給料の滞納が目立ち、挙句の果てに社長の失踪、というか夜逃げにより事実上、倒産に追い込まれ、なし崩しで失業と相成り、その時、タイミング悪くMR−2の車検が切れる時期になり、、私や『タロ』さんがお世話になっている方と相談の結果、MR-2をやむなく手放し、代わりにアルトを頂き当面の足にすることに・・・。
その直後、捨てる神あれば拾う神もありで、工場長がお世話になった方が新たに会社を起こして一緒にやってくれるとのことでお誘いがあり、新たな再スタートを切ることとなり、それからすこしして、新しい社長と懇意にしてる車屋さんの紹介で仕事を依頼された別の車屋がなんとケンメリを仕入れた車屋!!
意外な再会により、といっても2年以上前に、しかもたった一度だけしかあってなく先方の社長さんも、すぐに思い出せなかったようで、(失礼ながら実はこっちも人の顔をおぼえるのが苦手で先方の顔をよく覚えていなかったんですが)私が『あのケンメリ売れましたか?』と言った事で思い出してくれ、その時の話で、一度知り合いの車屋に頼まれて出したこともあるけど(それが私が見た前述のイベントでの事)社長さんが趣味で持っていた車であり、今でも欲しいのなら譲ります、との事。
しかも、そのとき先方から提示された値段もこれからお互いお世話になるからといい条件ではあったんですが、あいにく、そのときはそれまでの給料滞納のせいで貯金を切り崩し、しかも会社倒産のあおり食らって持ち合わせ自体全然無く、しかも就職したばかりな為、私の勤め先の社長いわくローンの審査も保証人が無いと・・・とのこと。
当然うちの親に相談しましたよ。で、話したんですが、親父いわく・・・
『おまえ、車なんて所詮足なんだしそんな古い車に金かけてどうすんの。どうせローン組むんだったら新車の軽4買って長く乗ったほうが利口だろ。』
・・・まあ確かにそれが道理なのは分かるんですが、それはごく普通の、車に縁が無いサラリーマンならではの話。
そらそうだろうけどこちとら車が好きでこの世界に入ったプロやで、旦那。
大体、新車で買ったところで3年経てば下取り価格もたいした額にならないしその分を月で割れば結構な額を費やすことになるし今の軽で欲しいものもない。
嫌々買ったところで乗ってて嫌気が差すのは目に見えてる。
それだったら今の足の軽4乗ってた方がマシだ。と反論かまして結局平行線。
結局無理だな、と悟り、先方の社長さんにも
『せっかく売ってくださると仰って頂き非常にうれしいのですが今の段階では購入するのは無理な状況なんです。』
と告げ、すっかりあきらめ、その時乗っていた軽4をボロボロでコ汚い状態のまま乗ってました。だって元がボロなんだし、普通に乗ってたんじゃあお金なくてそれ乗ってんのね、という目で見られそうだし、それだったらあえてボロボロにしてた方が、
『ああ、この人、車は動けば見てくれはどうだって良いんだな』
と。下手に惨めな思いするくらいなら、逆手にとって割り切って開き直ったほうがまし。と思ってました。
泥だらけでボロボロな状態のポンコツっぷりに余りのみすぼらしさからうちの親は最初はもう少し大事に乗れと言ってましたが『どうせ足なんでしょ。』と言い返し、言うだけ無駄だと悟ったのか、それからは何も言いませんでしたが。
まあ、これでも整備士の端くれですから走る、曲がる、とまるの部分はきちんと手はかけて必要に応じてお金はかけてはいましたが。

それでも先方の社長さんも、もともと売り物で仕入れた車じゃないし、急いで売る必要もないからお金貯まるまで待ってるから。
と非常にありがたい限り。まあ、それでも、私も勿論欲しい気持ちに変わりありませんが、私以上に思い入れがあって、どうしても欲しいという人がいましたらそちらを優先してください。と伝えました。私のためにご迷惑かけるわけにもいかんでしょう。

 まぁ、それからというもの、何とか現金でと貯めてはいたんですがこれがなかなか、というかやっぱり、というか思うようには貯まりませんで、その一方でますますみすぼらしくなる一方の私の車にさすがに不憫に思ったのか、うちの親父いわく
『次の車検で、といいたいけどいい加減にもうそろそろ買い換えたら?実はお前が毎月入れている金の一部、預金してるから、それだけあればあの軽よりももう少しまともな車買えるだろ。』
とありがたいお言葉が・・・でもその金額を含めて頭金にするにしても金額的にローンを組むのも中途半端だし、どうせなら元金が多いほうがいいだろうと、あわよくば一括で支払えるだけ貯まるかもしれないと言う思いがあったのと、それにケンメリ買って良いとは一言も言ってないのも気になって、とりあえず今はまだいいわ。と断り、今年の購入は無理だろうな。と思ってました。
軽4の車検が切れるのは10月末。仮にその直後に買おうものなら冬の塩カル(融雪剤の塩化カルシウムの事を略してこう言ってます)のせいですぐ錆びだらけになるのがオチだから乗るに乗れないのは目に見えてるし。まあ、前項で述べたように徒歩でも通勤できますから冬は、というかその気になれば明日からでも車無くてもいいのですが、どうせ乗れないならその間に金溜めて、一気に現金で買ったほうがいいだろうと。
もっとも、冬になれば別の車を買うだろうという算段が家の親にあったのかも知れませんが・・・ケンメリ買った今となってはそれも無いでしょう。きっと・・・

買うのは来春、そう割り切って、調子の悪かったパソコンを買い替えた直後のこと、先方の社長さんが別件で私の勤め先に来た際の会話(要約ですが)、
社長さん:『あのケンメリ買わないの〜?』
私:『欲しいのは山々なんですけどなかなかお金貯まんなくって・・・』
社長さん:『いくら貯まってるの』
私:『○○万しかなくって・・・』(←車検代の分を引いて出せる金額)
社長さん:『よし。それでいい。ほかにも引き合いあったけどあんたは思い入れあるって言ってるし、
       大事にしてくれるの判ってるからその金額でいい。』
私:『え゛・・・いいんですか?』
社長さん:『も〜ちろん。車はいつでもいいよ。』
私:『う〜ん・・・少し時間ください。親と相談しないとなりませんから。勿論それでよければ一括でお支払いします。』
社長さん:『い〜よい〜よ。じっくり相談して納得させて。物はホント、いいから。』

その日の晩の家族会議。
先方が現金で購入できる金額に値下げしてくれたことを話し、一緒に車見に行ってくれ。それから返事する。と切り出すとうちの父いわく。
『お前が維持できるなら何も言わない。約束した金額も勿論出す。もともとおまえの金だから。ただし、買ってから、あっち壊れた、こっち壊れたでお金が無いといわれても金は出せない。それだけは了解して欲しい。』
正直援助してくれるだけでもありがたい話。勿論、それ以上のことは望まないし、そんなつもりもさらさら無い。最終的には車を見てから決めることを告げ、数日後、先方に正式に購入する前に、もう一度現車を見せて欲しい旨を電話で伝え、都合のいい日、ということでその週の土曜日の昼に、見に行くことになり、当日を待ちました・・・。

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